【第6回】パーセンタイルと四分位範囲

第1回で、エラーバー(error bar)はデータの誤差(エラー)の程度を表すためのもので、±標準偏差、±標準誤差(SE)、パーセンタイル(percentile)、95%信頼区間(confidence interval:CI)などが使い分けられていると説明しました。ここまでに標準偏差、標準誤差(SE)、CIについて述べてきましたので、今回は、「パーセンタイル(percentile)」について解説します。

どのような場合にパーセンタイルでエラーバーを用いるのか

エラーバーは短い方が見栄えがよいので、標準誤差(SE)を用いるということもあるようですが、そうではありません。得られたデータのバラツキを示す場合は標準偏差を、平均などの推定値のバラツキを示す場合は標準誤差(SE)を、そして、平均などの信頼性を示す場合はCIを用います。

しかし、尿中アルブミン量や総コレステロール値など臨床検査データの中には、ずば抜けて高い値(外れ値)を示す場合があります。このように外れ値があるデータは、正規分布の当てはまりが悪いので、平均値±標準偏差や平均値±標準誤差(SE)ではなく、25%点から75%点までの範囲(四分位範囲)で示します。25%点(第1四分位点)や75%点(第3四分位点)とは「パーセンタイル」のことです。50%点は中央値となります。

パーセンタイルとは

パーセンタイル(M)とは、小さい方から数えてM%に位置するデータのことです。パーセンタイル50%の値、つまり中央値はよく知られているようにデータを昇順(あるいは降順)に並べたとき、真ん中に位置するデータを示します。ある臨床検査値が9個(奇数個)であった場合は、5番目のデータが、パーセンタイル50%の値、つまり中央値となります。

  • 中央値はどこか、25%値はどこか
  • 中央値は昇順データの真ん中です。
  • 真ん中とは1/2 ⇒ 50% ⇒ 0.5
  • 表1の中央値を計算式で求める方法
  • 真ん中は何番目か
  • (データ数+1)×0.5
  • (9個+1)×0.5=10×0.5=5番目
  • 5番目の値26が中央値となります。
表1 データが奇数個の中央値。9個のデータのうち5番目の26が中央値であることを示す表
表1 データが奇数個の中央値

では、表2にある臨床検査値が10個(偶数個)あった場合のパーセンタイル50%の値(中央値)を同様に計算式で求めてみましょう。

  • 真ん中は何番目か
  • (データ数+1)×0.5
  • (10個+1)×0.5=11×0.5=5.5番目
  • 5.5番目の値、つまり5番目の26と6番目の28の平均値27が中央値となります。
表2 データが偶数個の中央値。10個のデータの5番目と6番目の平均値が中央値であることを示す表
表2 データが偶数個の中央値

続けて、パーセンタイル25%の値(第1四分位点)を表3にて同様に計算式で求めてみましょう。

  • パーセンタイル25%の値
  • 25% ⇒ 0.25
  • 25%は何番目か
  • (データ数+1)×0.25
  • (10個+1)×0.25=11×0.25=2.75番目
  • 2番目のデータは 22
  • 3番目のデータは 24
  • 2.75番目のデータは22と24の間にあると考えます。
  • 端数順位は 0.75
  • 2番目データ+差分×端数順位
  • =22+2×0.75=23.5

ということで、パーセンタイル25%の値(第1四分位点)は23.5ということになります。

同様の計算式でパーセンタイル75%の値(第3四分位点)は33.5となりました。

表3 パーセンタイル25%の求め方。2番目の22と3番目の24の差分から23.5を求めることを示す表
表3 パーセンタイル25%の求め方

四分位範囲

四分位範囲は「第3四分位点」-「第1四分位点」の値となります。

図1のデータAとBの四分位範囲をみてみると、データAのほうがBよりも四分位範囲が広いことがわかります。

四分位範囲は、データのバラツキを示す尺度となり、標準偏差同様、値が大きいほどバラツキが大きいということになります。

図1 2つのデータAとBの四分位範囲の比較。第1四分位点・第3四分位点と度数分布を並べた図
図1 2つのデータの四分位範囲の比較

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箱ひげ図の例

いままでご説明してきたように外れ値があるデータの場合、そのデータのバラツキを表すために、最大値、75%点(第3四分位点)、50%点(中央値)、25%点(第1四分位点)、最小値を「箱」と「ひげ」で表した、図2のような「箱ひげ図」がよく用いられます。

とくに「ひげ」の上下は最大値、最小値なのかパーセンタイル90%点、10%点なのかは論文の記載をよく確認するようにしてください。

図2 箱ひげ図の読み方。最大値・第3四分位点・中央値・第1四分位点・最小値と四分位範囲を示す図
図2 箱ひげ図の読み方

この記事について

企画・制作/ケアネット
※CareNet.comにて掲載のシリーズを承諾を得て転載
https://www.carenet.com/series/istat/cg002147_index.html
執筆/志賀 保夫 ( しが やすお ) 氏
株式会社アイスタット 代表取締役社長
ビジネス・ブレークスルー大学大学院 教授(統計士・統計データ分析士・データ解析士)
監修/菅 民郎 ( かん たみお ) 氏
株式会社アイスタット 代表取締役会長
ビジネス・ブレークスルー大学大学院 名誉教授(理学博士)

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